ブログ名の由来

なんでこんなブログ名にしたのかという話をちょっと。

名前の由来はお察しの通り「a castle on the sand」(砂上の楼閣)から来ています。

この名前に込めた意味は「砂上に実在する楼閣」いや、「砂上に実在する摩天楼」といった方がいいのかもしれません。飛行機はさながらこの百年間で、高々とそびえ立つ摩天楼のような成長を遂げ、私たちを見下ろす存在となりました。

空気は当然のことながら目に見えません。もちろん細い煙を使って見えるようにする技術はありますが、それでも一部です。

ですから、空気の挙動を人間が読むのは難しい。普通の力学のように空気の気持ちになって考えるのは非常に難しくなります。
その不可視性故、空気力学を始めようとして挫折したり、空気力学の結果がにわかには信じられなかったり、といった現象が起こってしまうのでしょう。

設計になるに当たって必要なことは、空気力学や航空機力学と言った学問を信頼することです。これに限った話ではなく、物理学や化学も自然科学系は何もかも、ある仮定をを信頼して成り立っている学問だと思っています。

飛行機に関して、数学的な推論やエネルギー保存の法則、実験的な観測結果を考え合わせると、どうも揚力を生みだすらしい。それを信じて進まなければならないわけです。

これこそまさに「砂上に実在する摩天楼」だと思っています。



そこで、これから航空力学の世界へ入ってくる人へおすすめ文献など。

初学者(もちろん自分も初学者だと思っています。)がつまずきやすいと考えるキーワードは、「循環」「誘導抵抗と翼素理論」「空力中心」「無次元係数(特にモーメント係数)」といったところでしょうか。

特に循環がはっきりわからないという人が自分の所属する団体でも多いです。イメージがつかめないと…

ところが私は揚力を扱う際、循環に対してイメージを持っていません。なぜならクッタ・ジュコーフスキーの定理の証明を追ったことがあるからです。揚力もやはり力な訳で、単位時間あたりの運動量変化より求めることが出来ます。その式を動かしていくと循環の定義が式に現れるのであり、それ以上でもそれ以下でもないと思っています。

循環を理解する上でおすすめな文献を二つほど。

流体力学―流体力学、気体力学、空気力学実験 (SPRINGER UNIVERSITY TEXTBOOKS)

流体力学―流体力学、気体力学、空気力学実験 (SPRINGER UNIVERSITY TEXTBOOKS)

 
この本の循環の項は非常に読みやすく”イメージのつかみやすいもの”となっています。また、クッタ・ジュコーフスキーの定理も複素速度ポテンシャルを学んでいなくても追うことが出来るようになっています。流体力学の講義にも使えると思うので少しお得ですね。


流体機械工学 (機械系教科書シリーズ)

流体機械工学 (機械系教科書シリーズ)

この本の一番の特徴は「計算手順が図示してあること」です。飛行機に必要と思われる流体力学の知識は一通り載っていると思いますし、設計にも生かせるように考慮されているのがうれしいです。後半にはアドキンス&リーベック法を用いた詳細なプロペラ設計法(つまり翼素理論の解説もあります)も書いてあります。ある程度知識がついてきたら読んでみることをおすすめします。


空力中心は

C_mg=C_Mac-C_L(a/\bar{c}-\xi/\bar{c})
(a:主翼前縁から空力中心までの距離 \xi:主翼前縁から重心までの距離)

をしっかりと考えれば頭になじんでくる感じはあります。参考文献として、大変有名な入門書を挙げておきましょう。定性理解には十分だと思います。

航空力学の基礎

航空力学の基礎


今回はこの辺で。