"紅鮭"三面図とXFLR5

やっと少し涼しくなってまいりました。いかがお過ごしでしょうか。

さて、今回は前回の記事でまだまだ公開しないといっていた三面図とXFLR5で作成したモデルを公開しようと思う。
XFLR5はver6.10からバイナリファイルの拡張子が.wpaから.xflに変更されたので注意。

まずはXFLR5から。

benishake.xfl

続いて三面図

FlightWorks_benishake.pdf

安定性設計とXFLR5

今回、尾翼を設計するのにXFLR5をフルに活用した。
XFLR5の良さは、モデルを作ってしまえばそこそこの精度で「高速に」結果を出してくれることにある。
特に安定性解析は優秀で、推算の面倒な有次元安定微係数をそれこそパッと出してくれて、固有振動数や減衰率を出してくれる。

たとえば慣性能率や有次元安定微係数を見たいなら、[Stability Analysis]を実行した後、[View Log File]でログファイルを開けばそこに入っている。
こうしたログファイルをtxtとして保存すれば、プログラムから参照してさまざまな計算にもちいることができる。

今回尾翼設計の指針にしたのは、おなじみの尾翼容積の値(動ファクタは正直見てもわからない)と、縦短周期モードの挙動、そして横ダッチロールモードとスパイラルモードの挙動。
またunityを使ってStability AnalysisのログファイルとCLCDCM-alphaのグラフを読み込んでシミュレータを作成し、実際の操縦感覚を見ながら設計を行った。
後者については、設計⇒シミュレーションのサイクルをかなり高速に実行できるようになったので相当便利。まさにXFLR5様様。

XFLR5の慣性能率(慣性モーメント)については、設定でpropeller等の質点を追加していくことで、そこそこ推算できる。一応3DCADのモデルと照らしてみたけれども、オーダーはあっている。その他制度検証についてはXFLR5のドキュメンテーションに乗っている。ということで今回はこの結果を信頼するということで、、、

水平尾翼の大きさは
①容積比からざっと計算
②解析をして縦短周期固有振動数と減衰率を見る(ダイアログに出るFNが固有振動数,ζが減衰率)
③航空機力学入門にのっているグラフ(加藤寛一郎,航空機力学入門,p183,図8.2)の領域の中でよさそうなところに落ち着いているか確認
の手順で行った。その結果ほとんどピッチがオーバーシュートしない、びっちりピッチが決まる機体となった。
ただし、テールの長さがどんどん伸びてしまい、Distの中でも最大級の大きさに、、、(某二人乗りは除く)

垂直尾翼については
①それっぽい形を作る
②安定解析
③スパイラルモード基準を満たす(振幅倍増時間が20秒以上)まで面積を調整する
の順で大まかな形をつくり、シミュレーターを使って微調整した。
その結果、人力飛行機に珍しくスパイラルモードが安定となり、ダッチロールも振動的ではなくなった。
これはDist機にしては少し大きい主翼上反量と、長いテールが影響しているのかなと考えている。

また両尾翼ともテーパーのきつい形状になったのは、揚力を発生した際に少しでも楕円循環に近づけて抵抗を減らすため。またテールが長いのも面積を減らして抵抗を減らすため。
飛行機設計の王道は尾翼に強いテーパーをつけないで翼端失速を防ぐのだけれども、今回は十分にレイノルズ数が大きくまず失速しないので抵抗減に振った。


とりあえず安定性設計についてはこんなところ。作ったシミュレータ、かなり遊べるので、これでパイロットをイジメつつ腕を上げてもらおう(笑)
機会があったらプロペラのことも記事にする、かな?